抄録
本研究では、学生の教職への動機付けを入学当初に明確にするため、大学人門科目において、イギリスの著名な科学者であるファラデーの「ロウソクの科学」を教科書として第一講から第六講を本学教育学部理科コースの1年生で分担し、意識する単位として演示実験を取り入れた1時限の中学校理科学習指導案を作成させた。現職教員の学習指導案を参考にして、プレゼンテーション及び学生間での質疑応答による協同学習を経て学習指導案を実施可能なものに整理させ、第一講から順に演示実験を含む模擬授業を行わせた。指導案と実践では様々な齟齬が生じたが、1時限分の学習指導案を立てる単位意識の認識に基づいて、オーセンティックな授業を指標として議論しながら自らも振りかえることができる協同学習の効果と、大学教育の必要性を、授業能力不足の認識を踏まえて学生自身が認めていることを、学生の考察から読み取ることができた。