抄録
2006年PISA調査は,各国における科学的リテラシーの育成状況を中心領域として測定し国際比較した初めての調査であった。市民となるための基礎的教育を終了した15歳段階の生徒たちは,科学やテクノロジーが関係する事象に関して,何を知っていて,何に価値を感じて,何をすることができるべきであろうか。PISA調査の結果は,日本の15歳段階の生徒たちの科学的リテラシーの育成状況が,国際比較の観点で不十分であることを示した。特に科学的態度に関わる多くの指標で国際的に低い水準の結果であった。また,科学的能力面についても「科学的な疑問を認識する」能力などに課題が見られた。今後,中学校と高校のそれぞれの理科授業の改善に向けた取り組みが求められる。その際,フィンランドやカナダなど,良好な結果を示した国々での取り組みも参考となるだろう。