抄録
平成10年改訂の教科書では,第6学年「人や動物のからだ」で,6社中3社,そのうち2社は「資料」として「魚の解剖」を扱っている.本研究では,実際に「魚の解剖」の授業を行うことにより,児童の解剖に対する考え方,体験を通して得られた科学概念,生命観などを調査・分析した.「魚の解剖」の授業後のアンケートでは76名中,74名が「やってよかった」と答え,その理由,及び気付いたことの記述に「生命観」「体験的学習」「科学概念」「生物多様性」に関するものが多く見られた.「魚の解剖」の実施に当たっては,多くの課題が残されているが,「人及び他の動物の体のつくりと働きについての考えをもつようにする」,また体のつくりの精巧さに気付き,「命の尊さ」を実感するためにも,「体験的学習」としての解剖実習は有意義であると考える.