抄録
本稿は、フィリピンにおけるオーストラリアの理数科教育協力プロジェクトを対象として、背景、目標、活動(教員研修、教材開発、資機材供与)に着目し、報告書の分析及び関係者インタビューから、オーストラリアの理数科教育協力の変遷を検討した。その結果、1)理数科教育改善そのものが目標となった場合とより広い目標が設定されていた場合、2)対象者の多様性(個々の教員、教育省スタッフなど)、3)トップ・ダウンやボトム・アップのアプローチの違い、が特徴的な差異として挙がった。これらより、教員の能力開発-システムの改善、及び全国展開型一地域焦点型の二つの流れが変遷を形成していることが明らかとなった。