科学実践における対話は,多くの科学的発見や科学の普及においてみられる科学の重要な側面である。一方,科学教育においては,「対話型授業・学習」といった授業技術の一つとしての対話,導管メタファとしての対話,あるいは,個人の能力としての対話力等の必要性が主張されることはあっても,「対話」概念そのものについての吟味はされてこなかった。しかし現代社会における意志決定,判断のための媒介として科学の役割を考えるとき,科学教育において対話のあり様とあり方を探ることは不可欠である。この課題研究では,入り組みがちな「対話」概念を,教育における様々な領域の実例から検討することで,教育における対話の意味を問い直す。