抄録
本稿は,「科学技術リテラシー」の発展を見据え,技術教育と理数教育の関連性の検討を行っていた過去4年間の課題研究の議論を整理した。各教科の固有性を活かした連携・協働の在り方を技術教育の立場から検討した結果,製品開発や技術的な概念形成を目的・目標として扱う「ものづくり」の過程において,科学的原理や法則の一部が「技術理論」や「関係知識」などの技術固有の内容として置換・昇華されることを考察できた。次に,社会的な文脈から,各教科・教育の共通的な考え方として「デザイン・モデリング」を取り上げ,それぞれの特徴と独自性を「算数・数学一数式化」,「理科ー理論化・法則化」,「技術ー最適化,システム化」と位置づけた。これらの概念・能力を各教科・教育の本質として意識し,バランスよく発達させることで,本来の意味での「科学技術リテラシー」の育成に結びつくことを指摘した。