主催: 一般社団法人 日本科学教育学会
会議名: 日本科学教育学会第44回年会
回次: 44
開催地: 兵庫教育大学
開催日: 2020/08/25 - 2020/08/27
本稿の目的は,児童・生徒の統計に関わる批判的思考の発達の様相について考察し,指導への示唆を明らかにすることである.そのために,開発して実施した調査問題の「イ統計に関わる批判的思考を問う問題」(10題)のうち,小5から高2までの児童・生徒が取り組んだ3題を取り上げて,解答類型と反応率・通過率の学年横断的な様相と児童・生徒の解答例を考察した.その結果,「棒グラフの指導では,児童・生徒が主張のためにグラフが加工されている場合があることに気付き,グラフの縦軸の目盛りの取り方や割合の考えを使って的確に説明できる機会を設けること」「折れ線グラフの指導では,児童・生徒が主張のためにグラフが加工されている場合があることに気付き,グラフの縦軸と縦軸の目盛りの取り方や変化の割合の考えを使って多面的に説明する機会を設けること」「因果関係の指導では,主張に必要なデータがあるかどうか確認する場を設けることや,因果関係がないことを定量的に説明する機会を設けること」の大切さを明らかにした.