日本科学教育学会年会論文集
Online ISSN : 2433-2925
Print ISSN : 2186-3628
ISSN-L : 0913-4476
46
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論文集
身体化認知の視点から見た比例的推論の基礎の形成
年長児の事例研究を通して
*松島 充
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抄録

本稿では,比例的推論に関わる認知を個人内から個人外に拡張して考察するために,身体化認知の視座から年長児の事例研究を分析することを目的とする.そのために身体化認知の理論を概観するとともに,年長児の活動記録を作成した.年長児の活動では,比例的推論のユニット化の基となる等分の概念の理解を目的とした.また分析では約12分間の活動において等分の概念を理解したA男の言動に着目して分析を行った.その結果,教師とA男の情動の共有がA男の認知活動の方向性を定めていた可能性のあることが見出された.また自己の感覚運動経験と他者の操作活動の視覚的経験を複数回経ることで,比例的推論のユニット化につながる等分の概念が見え始めた可能性のあることが示唆された.その結果,活動2と活動3においてA男の等分の活動には,明らかな質的な差が見出された.

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© 2022 日本科学教育学会
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