日本科学教育学会年会論文集
Online ISSN : 2433-2925
Print ISSN : 2186-3628
ISSN-L : 0913-4476
46
セッションID: 1
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論文集
社会的実践を志向した数理科学教育の理念
民主主義的な活動と市民性育成の視点から
*松島 充山口 武志西村 圭一島田 功鈴木 和幸
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抄録

本稿では,なぜ市民性育成を数理科学教育の目的の柱の1つとするのか,どのような市民性を育成するのかについて論じた.市民性育成と数理科学教育は民主主義的な活動という共通点をもつため,数理科学教育の目的を市民性育成に設定することができる.また対象となる市民性の内容は,民主主義的な活動そのものである.その上で,民主主義的な活動には次の4点が重要であることを指摘した.1:すべての子どもが対話に参加し,強制なく同意できる数理科学的選択肢をつくり上げること,2:真正な問題を解決するために,関連するすべての人が受け入れることができ,かつ,それらの人々が属する共同体の歴史や文化を加味した解決策を対話によってつくり上げることを目指すこと,3:自他の意見やその前提となる価値観を理解し合意形成を目指し続けること,4:当たり前に存在している共同体や社会そのものを問い直し,批判的に再構成していくことの4点である.

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