電気抵抗による熱散逸を可視化する教材の開発

抄録

高等学校物理基礎「電気」単元における電気抵抗に関する科学的概念の形成を促す教材の開発を行い，実践を通して効果の検証を行った．本研究で開発した導電性サーモ寒天は，単体で抵抗として使用することができ，食塩含有量を変えたり，カットする形状を変えたりすることで容易に抵抗値を変えることができる．また，およそ40℃で青からピンクに変色するため，抵抗で発生するジュール熱を可視化することができる特徴を有する．この教材を用いた実践の事前，事後，遅延調査の結果から，生徒は電気抵抗に関するイメージを獲得したことで，抵抗値と抵抗で発生するジュールに関する素朴概念が修正され，科学的概念の形成が促されたことが分かった．また，形成された電気抵抗に関する科学的概念が1ヶ月後も維持されたことから，導電性粘土の電気抵抗学習教材としての有効性が示唆された．