主催: 一般社団法人 日本科学教育学会
会議名: 日本科学教育学会第48回年会
回次: 48
開催地: 函館工業高等専門学校
開催日: 2024/09/13 - 2024/09/15
現代は量・質を含めて多様な情報が反乱している.その中には自身の主張を支持する根拠(証拠)のみを取り上げて主張するチェリーピッキングが散見される.著者らは,認識的認知の理論に由来する「証拠の把握」フレームワーク(Duncan et al., 2018)を念頭に,大学生を対象に主張の異なる複数の文書からチェリーピッキングを見抜けるかを検証する実験研究を行ってきた.その結果,大学生でも明示的にチェリーピッキングを警告する表現がなければ見抜くことができない傾向が明らかとなった.これを踏まえ,証拠評価の教授法を検討し,その効果を検証する実験研究を行ってきた.その結果,「証拠の全体性」と「著者の信頼性」について教授することで証拠評価リテラシーが向上する可能性を示す知見が得られた.これらの研究知見から,科学教育において証拠の概念の精緻化と教授法に関する研究が必要であることを提言する.