1986 年 1 巻 1 号 p. 23-28
本稿においては、数学的問題解決における解決者の思考プロセスに焦点をあてて、その思考プロセスの表現と評価についての考察を加えている。まず、数学的問題解決において解決者の思考の重要な要素である、「発見法・問題解決ストラテジー」「コントロール・メタ認知行動」を、Schoenfeldの研究にもとづいて明らかにしている。さらに、その要素に焦点をあてた数学的問題解決における思考プロセスの研究を検討し、それが「誤った思考プロセス」の把握と表現の研究が中心に行われてきていることを指摘し、さらに、数学教育の立場から、「質の高い思考プロセス」の把握と表現の研究へと発展させることが必要であること指摘している。そして、その「質の高い思考プロセス」の表現について検討するとともに思考プロセスにおける「質の高さ」の意味を明らかにすること試みている。