抄録
非物理系学科・初年級の物理教育を学習者の自己実現という観点でとらえた実践について報告する。基本的な力学概念の学習に「保存法則」の理解を先行させる処方を採り入れ,動的な観点にも配慮した教育プログラムと取り組んだ。探究例として身近な非弾性衝突をとりあげ,現象の考察を経て"質量"と"力"の概念を確かなものにしたうえで[運動法則]の学習にとりかかり,法則全体の包括的な概念形成を効果のあるものとすることができた。学習者が自己実現の可能性を究めようとするとき学習意欲は否応なく高められることを確認した。