日本科学教育学会研究会研究報告
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一般研究発表:A会場
子どもから成人における科学概念の獲得と変化に関する研究(II) : 子ども・学校・社会における振り子の運動に関する認知の発達的変容
隅田 学
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1996 年 11 巻 1 号 p. 47-52

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抄録
本研究は,振り子の運動に関する認知の実態を幼稚園の5歳児から中学3年生までの学習者1261名とその保護者1108名を対象に調査を行い,子どもと保護者のアイデアについて解祈を行ったものである。その結果,次のことが明らかになった。(1) 幼稚園の5歳児から中学3年生に子どもを持つ保護者による振り子の運動についてのアイデアは,「振り子のおもりの重さと振れ幅の関係」そして「振り子のおもりの重さと振れる速さの関係」のいずれに対しても子どもの年齢に関わりがなく頻度分布する。(2) 保護者は,半数程度の者が,「振り子のおもりが重くても軽くても振れ幅は同じ」そして「振り子のおもりが重くても軽くても振れる速さは同じ」という科学的なアイデアを応答する。(3) 振り子の運動に関する子どもの認知の発達的変容のパターンは,同じ課題に対する保護者のアイデアにはあまり影響を受けない。最後に,それらの結果に基づき,振り子の運動に関する学習者及び保護者の認知の実態と,それが理科教育に対する意味を簡単に考察する。
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© 1996 一般社団法人 日本科学教育学会
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