抄録
本稿は, van Hieleの洞察の概念によって, 数学教育における教授学的示唆を得ることを目的としている。この課題に対し, 本稿では「図形の見積り」における洞察の価値付けの可能性に焦点を当てた。結論として, 「図形の見積り」を行う際に, 見出された構造により洞察を得るという解釈によって, 子どもの思考の様相を捉えることが可能となることを示せた。この結論を導く方法として, van Hieleの構造の捉え方を明確にするために, Piagetの構造の捉え方と比較した。そして, そのvan Hieleの理論をもとにした先行研究の分析によって, 洞察の数学教育において価値付けられる場を見出し, その可能性について考察した。