抄録
本研究は, 科学・技術教育と進路指導の, 戦後日本における意識と社会的期待を検証した. 戦後, 科学・技術教育と進路指導は共に飛躍的に発展した. しかし, それは自然発生的な事象ではなく, 社会的現実に迫られた経済産業界による強力なリードの結果生じた事象であった. 科学技術者養成の志向が強い中, 進路指導は受験のための進学指導に偏り, 本来の目的から変容を余儀なくされた. これには, 現代において, 科学・技術教育とキャリア教育の関係を構築するために重要な示唆が含まれている. 個々人の人生設計に貢献度の高い, 科学・技術教育を通じたキャリア教育という考え方を提案する.