2007 年 24 巻 5 号 p. 25-28
トウモロコシには、黄色にする優性遺伝子と白色にする劣性遺伝子のはたらきにより、黄色と白色の種子(胚乳)が3:1の割合で生じるもの(以降、バイカラーコーンと呼ぶ)がある。この胚乳の色の遺伝は教材として広く知られており、黄色と白色の種子を数えて分離比を求め、3:1に近い値になることを確認するという学習内容が掲載されている高等学校「生物Ⅰ」の教科書もある。ところが、教科書では分離比については学習するものの、得られたデータに対する統計分析については触れられていない。科学的に思考する上で統計分析の概念は重要であるため、限られた授業時間の中で統計分析について指導する方法を検討し、授業を実施した。その際、統計学的な理論については最小限の内容に止め、統計分析の過程で必要な計算については、表計算ソフトを活用することで時間を短縮した。授業実践の結果、通常の授業の中でも僅かな時間を割くことで、生徒に統計分析の必要性を意識させることができる可能が示唆された。