2007 年 24 巻 5 号 p. 41-42
今から約10年前までは,基礎物理学Ⅱでは電磁気学(静電気,電場,オームの法則,交流回路,静電誘導,…など)を中心に授業を組み立てていた。これに熱現象,幾何光学や電磁波などを加える余地のあろうはずがなかった。基礎物理学Ⅰと比べても基礎物理学Ⅱは決して易しいものではなかった。ところが,高校での理科の履修状況が一変する事態となった影響から,次第に生物または化学を中心に履修した入学生の割合が目立って増えてきた。しかも生物以外(または化学以外)に疎いいわゆる理科一科目型の新入生が多くなってきた。そのころから電場や交流などの学習が困難になり始めた。そして,最近では基礎物理学Ⅱ履修生の実に80%近くが高校でまったく物理を学習していないというような事態になっている。こうした状況をふまえ,物理現象から学んだ後,物理法則に触れさせる指導法をとり始めて,幾分かの効果がみられるので,それについて報告する。