2012 年 27 巻 3 号 p. 27-30
本研究の目的は,小学校理科において「観察」指導がどのように行われてきたか,日本理科教育学会誌『理科の教育』に掲載された論文・記事を対象として,Nature of Scienceの観点から分析し,その特質を明らかにすることである。分析の結果,対象期間の『理科の教育』では,「観察」に関する特集号や連載企画が組まれるなど,合計 111 本の「観察」に関する論文・記事を掲載されてきたが,Nature of Science の観点からの分析では,教育内容の一部として「観察」ついての内容の教授することを議論されてこなかったことが明らかになった。その他,「観察」に関する論文・記事の年度別変化や「観察」対象の学問分野ごとに集計したところ,年度別変化では,毎年度一定程度の論文・記事が掲載され続けていたことが明らかとなった。また,「観察」対象の学問分野別の集計では,生物分野に関する論文・記事が他の分野と比べて多く,半数以上を占めていたことが明らかになった。