抄録
数十年に渡る抗菌薬の開発と耐性菌の出現のいたちごっこの末に,現在では複数種の薬剤に耐性を示す細菌がたびたび検出されるようになった.このような多剤耐性菌はヒトに感染すると治療が極めて困難となる.人類が再び細菌感染症に対して無力とならないように,耐性菌を増やさない努力をする必要がある.そのために,児童生徒には細菌に興味を持ってもらい,細菌と賢くつき合う方法を学ばせる必要がある.演者らは,抗菌薬の一種であるテトラサイクリンと本薬剤に耐性を示す大腸菌を用いて,テトラサイクリン耐性機構を視覚的に学ぶためのプロトコルを検討した.本プロトコルに従えば,テトラサイクリン耐性菌が本薬剤を菌体内から菌対外に排出することを蛍光顕微鏡の検鏡結果と培養結果にて理解することができる.