2014 年 29 巻 9 号 p. 41-46
米国の現代科学教育改革の特色の1つに,「エンジニアリング」の重視がある.しかし,日本の科学教育の文脈において,「エンジニアリング」の意味,重要性等々が共通に理解されているとは言い難い.そこで,「エンジニアリング」及び,「エンジニアリング」と関わりの深い「化学工業」を記述する米国の高等学校化学教科書の内容分析を行った.また,NGSSに繰り返し登場する「エンジニアリングデザイン」の記述内容を調べた.その結果,高等学校化学教科書では,「化学工業」の単元において「エンジニアリング」が記述され続けている事実及び,教科書改訂を重ねるたびに「エンジニアリング」として,化学工学に関する学問内容を強調する傾向が認められた.NGSSでは,「エンジニアリング」の実践的で行為的な側面が重視されていた.また,関連書籍を調べたところ,「エンジニアリング」の実践を実現するため,いくつかのサイクル型教授モデルが提起されていた.