日本科学教育学会研究会研究報告
Online ISSN : 1882-4684
ISSN-L : 1882-4684
〔研究発表〕
アメリカの生物教科書BSCSにおける遺伝教育の内容について
池田 秀雄梅埜 國夫
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1988 年 3 巻 3 号 p. 9-13

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抄録

BSCSシリーズの遺伝に関係する3種類のカリキュラムについて、教科書および教師用指導書の教育目標、教育内容等を検討した。「遣伝子と環境」(中学校向き)では、思春期にある生徒に自分達自身を教材として与え、ヒトの変異・多様性を視点とする人類遣伝学的内容を扱う。その過程で観察記録などをさせ、これによって生徒の社会的・情緒的発達を促す。「基礎遺伝学:人間からのアプローチ」(高等学校向き)では、ヒトの遺伝とそれに関係する杜会的問題を中心とし価値観や倫理観を強く考慮している。また、上記2つのカリキュラムでは、教育の場を、学校、家庭および社会に広げようとしている。「遺伝子工学の進歩」では、遺伝子工学によってもたらされる個人的・社会的問題に対する正しい理解を促し、この様な問題を解決する手段として、倫理的手順を導入する。以上の通り、どのカリキュラムにおいても、人類遺伝学や遺伝子工学の新しい内容を取入れると同時に、生命倫理の問題を積極的に扱っている。

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© 1988 一般社団法人 日本科学教育学会
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