わかりやすい授業を考える上で重要なことは, 教育目的 (生徒の発達目標), 内容 (内容の構造化)、授業展開, 評価がお互いに矛盾しないことである. そこでこの教育の全体像を概観した上で, 電磁気分野を例として授業の内容について考察する. 教育目的としては, 総合的な能力, 創造性の育成をめざし, その方法として科学的思考力を養うための問題解決の過程をとおる学習方法をとるが, 内容を希簿なものにせず発展性をもたせるため, 個人の発見や認識の過程と類似しており, 既存の学習体系の基礎になっている科学史を分析することにより, 骨格となる基礎概念の発達を概念チャー卜図を用いて明らかにし, 最低限獲得すべき基礎概念を分析するとともに, 生徒の問題意識の位置を明らかにするための大判の概念チャート図を作成した. また, 生徒の認識の発達に役立つ教材構成についても考察する.