2015 年 30 巻 3 号 p. 71-76
アメリカでは STEM 教育(科学・技術・工学・数学の内容統合教育)という考えのもとに,2013 年に Next Generation Science Standards (NGSS) が策定され,その中に「工学設計の過程(ものづくりの過程)」が明確に位置付けられている。これは試行錯誤を経て目的のものをつくるためのガイドラインである。しかし,日本の理科授業の場合,ものづくりは取扱われているが,学習指導要領や教科書の内容に「ものづくりの過程」の明示的な記述はない。そこで今回は千葉市の公立中学校の理科教員を対象として行った理科でのものづくりへの「ものづくりの過程」の導入に関するアンケート調査結果を中心に報告する。調査の結果,理科や学校教育にとって重要性・必要性はあること,安全性や子どもの概念適応の観点からは問題ないこと,また教材準備時間や金銭,授業時間数の観点から現状での実現は厳しいことがわかった。