日本科学教育学会研究会研究報告
Online ISSN : 1882-4684
ISSN-L : 1882-4684
発表
動物園来園者の科学的観察を支援するための紙芝居を利用したワークショップ
観察カードを利用した観察行動の分析
田中 維山口 悦司稲垣 成哲江草 遼平楠 房子奥山 英登木下 友美坂東 元
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2015 年 30 巻 3 号 p. 83-88

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抄録

筆者らは,旭山動物園のアザラシ展示を事例として,「形態と機能を関連づける」観察支援のために開発した紙芝居の有効性を明らかにするために,ワークショップを実施した.ワークショップでは,紙芝居と,紙芝居を縮小した観察カードを併用し,子どもにアザラシを観察させた.本稿では,9 名の子どもを対象として,観察行動における観察カードの利用の有無と,利用方法を明らかにし,観察カードの有効性を検討した.その結果,27 件中 24 件の観察行動で観察カードが利用されていた.また,観察カードの代表的な利用方法として,観察中にアザラシの形態と機能に関する観察の視点を持つ「見比べ」が確認された.その他に,観察項目を確認する「思い出し」,観察した内容を他者へ伝える「提示」,他者の観察内容を知る「参考」があった.これらのことから,観察カードは形態と機能の観察支援に有効であることが分かった.

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© 2015 一般社団法人 日本科学教育学会
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