2015 年 30 巻 3 号 p. 89-94
本研究では,理科の授業において,複式学級の指導法の 1 つである学年別指導に反転授業を導入し,「第 4 学年 A(3)電気の働き」と「第 5 学年 A(3)電流の働き」について実施した授業への有効性を検討する.学年別指導とは,教師がそれぞれの学年の児童に異なる内容を指導する方法である.そのため,教師が一方の学年を指導している間は,もう一方の学年は自分たちで学習を進めていかなければならない.これを間接指導という.反転授業では, 動画と説明文からなる反転授業用教材を作成し,児童にオンラインで提供した.児童は,それを用いて基本的な学習を授業前に自宅で行った. これにより,児童は事前に知識を得た状態で,対面授業での発展的課題や実験に取り組むことができた.間接指導の際に反転授業の形態が児童の学習を支援したことを示す児童 4 名と教師の言語的行為・非言語的行為を抽出し,分析した.その結果,反転授業の形態は,(1)知識の活用を支援すること,(2)児童に実験手順を把握させ,学習を進めさせることが明らかになった.