高等学校化学におけるモデルと表象の関連

－教科書分析による一考察－

抄録

高等学校化学は，様々なモデルと記号を対応づけた非常に抽象的な学習内容になっており，生徒にとって本質的な理解を伴った科学概念構築を達成することは容易ではない。本研究では，高等学校化学の教科書について，和田・森本が提唱した表象ネットワークモデルを援用し，教科書に記載されている各種のモデルと表象の移行との関連について分析した。結果として，教科書に記載されているモデルは，各表象レベルの相互連関に影響を与え，記載されるモデルの種類や順序によって，表象変換過程の差異が生じることが明らかとなった。