中学校1年生の「物質の状態変化」を事例にして,理科授業の導入段階での生徒の既有知識や事物・事象の観察と疑問の生成との関係を探った。生徒らは,事象の表面的な特性といった質的な側面から,主として疑問詞を使った疑問を生成しており,複数の観察事実を組み合わせて,疑問を生成する傾向は見られなかった。また,同一物質で条件を変化させて再現可能性を確かめることや,他の物質での事例を集めて一般化を図ることに関連して,はい/いいえで答えられる疑問や直接観察したことに基づかない疑問を生成することが示唆されるのであった。