日本科学教育学会研究会研究報告
Online ISSN : 1882-4684
ISSN-L : 1882-4684
発表
ジェンダ-の視点による高等学校生物における科学技術の発展を踏まえた実験の 生徒に与える影響と実施の在り方についての実践的研究
奥村 仁一熊野 善介
著者情報
研究報告書・技術報告書 フリー

2016 年 31 巻 8 号 p. 25-28

詳細
抄録

現行の高等学校学習指導要領理科編では,急速な科学の進展を反映した学習内容を取り入れる見直しを図ったことや,実験・観察等の科学的体験を一層充実するよう改善したことを示している。また年度の調査では,日本の自然科学系学部の女子大学生の割合は低く,女性研究者の割合も諸外国に比べて低いことが示されている。そこで本実践では,高等学校の生物の授業において,大学との連携により遺伝子DNAについての5種類の実験を実施し,実験の違いによる男女の興味・関心の違いについてアンケートを分析し考察した。選択式アンケートの結果から,印象に残った実験はどの実験かを尋ねた質問に対する回答で男女差があった可能性が示された。また自由記述式アンケートの定量的・定性的分析の結果から,男子では実験操作や実験に使用した器具等の技術的内容に対する興味関心が高かったが,女子では特定の実験よりも実験講座全体に対する感想が多かった。併せて女子では自分や日常生活と関連付けて考えられる実験に興味・関心が高かったことが示された。これらの考察を踏まえて,複数の実験を組み合わせて授業を実施することにより,男女双方の興味・関心を高め効果的な体験学習ができる可能性があると考えられた。

著者関連情報
© 2016 一般社団法人 日本科学教育学会
前の記事 次の記事
feedback
Top