日本科学教育学会研究会研究報告
Online ISSN : 1882-4684
ISSN-L : 1882-4684
発表
高等学校生物の新しい授業の在り方に関する基礎的研究
~カリキュラム・マネジメント要素を加えた科学者の研究過程を辿る型への 転換の試みとその効果~
西野 秀昭
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2017 年 32 巻 2 号 p. 13-18

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抄録

次期高等学校学習指導要領の目的,高大接続システム改革,大学入試の変化への対応等を考え合わせると,これからの高等学校生物の授業には,整理された生物用語と共に,科学者の研究過程を丹念に辿る手法が肝要と考えられる.しかし観察・実験の実施には困難なものもある.そこで教科書の記述と観察・実験データから,科学者が最初に抱いた疑問,仮説,仮説検証のための観察・実験方法,結果,結論を,真の理解に基づいた文章で整理する事が,次期高等学校学習指導要領理科が目指す資質・能力を生徒に身につかせる事に繋がるか検討する目的で,まず教員養成系大学生を対象に試みた.カリキュラム・マネジメントの考え方を持ち込み,国語の5W1H を意識し,いつ・どこで・だれが(当時の研究の背景)・なぜ(疑問)・どのように(研究方法)・なにを(研究の対象,研究結果・結論)に分けて考え,英語原著論文の必要部分を読み解き,最後に研究の要旨を400 字詰原稿用紙1枚に整理させた.学生による授業評価では,ほぼ全員が授業の難易度を高いとしたが,教員への質問や学生同志の議論が活発に行われ,ほぼ全員が授業に満足していた事から,主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)にも結びついていたと考えられる.

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© 2017 一般社団法人 日本科学教育学会
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