2018 年 33 巻 3 号 p. 213-218
近年,遺伝子工学や分子生物学等の生命科学に関するテクノロジを援用したバイオ・アートという芸術分野が注目されている.昨今アート表現を通した科学技術コミュニケーションの可能性が指摘される中で,バイオ・アートもまた鑑賞者に対して既存の科学技術コミュニケーションの手法とは異なる効果を及ぼすことが考えられる.しかし,バイオ・アート自体が芸術活動の中でも新しい試みである為に,その鑑賞者に対する影響についてはこれ迄研究報告がほとんど行なわれていない.本研究では,バイオ・アートが鑑賞者に対し及ぼす影響を, 鑑賞者の属性や各作品を鑑賞した際の印象などの観点から評価する為のアンケートを作成し調査を行なった.本稿では,特に調査の為のアンケート項目の設定と,パイロット調査を踏まえたそれらの再検討について報告する.