本研究の目的は,中学校理科の定期テストを対象に項目反応理論(IRT)に基づいて分析を行い,項目困難度や項目識別力から改善が必要な問題の特徴を見いだすことである.中学校第一学年で実際に実施された2つの期末試験(計85問)を対象に,項目反応理論の前提となる一次元性と局所独立性について検討を行った結果,2つの仮定を満たすことができたため項目困難度や項目識別力について出題の観点や解答形式ごとに算出した.その結果,選択式問題の項目識別力がやや低いことなどが示された.それらについて選択肢の内容に着目すると,実際は4択問題であっても文脈からほぼ自動的に2択まで絞られる問題が散見された.したがって,選択式で思考の結果のみを問うのではなく,思考の過程を問う問題に改善することで項目識別力が上がると推察された.