2022 年 37 巻 4 号 p. 13-18
本研究の目的は,小学校第2学年「乗法九九」の学習で,パターンブロックを活用した具体的な操作を伴う数学的活動を含む授業を行い,パターンブロックを活用することの数学的価値について,授業の分析・考察を通して示唆を得ることでる.具体的には,パターンブロックを活用した平面図形の敷き詰め教材(以後「タスクカード」)に敷き詰めたパターンブロックの数を数えたり,台形,ひし形,正三角形を使って六角形を作成したりすることで,乗法九九の概念形成を目指す授業を試みた.パターンブロックの操作による数学的活動は,児童の知的好奇心を高め,楽しみながら取り組むことができる.さらに,六角形の作成による2の段,3の段の構成,また,1の段,2の段,3の段の和として6の段が構成できることに気付くなど,九九の構成や九九表の仕組みについて主体的に学習に取り組む姿から,パターンブロックを活用することの価値について示唆を得ると共に,今後の課題を明らかにした.