2022 年 37 巻 4 号 p. 133-136
他者に援助を求めたり,提供したりといった力は今後の社会において重要なものであると考える.そこで本稿では,算数科の内容理解に特徴づく援助要請・援助提供の構造について事例的に考察した.そこで,小学6年生の分数の除法単元における授業を計画,実施し,算数科の内容理解に特徴づく援助要請・援助提供の場面を抽出するとともに,援助要請・援助提供の種類をラベリングすることからその構造について分析及び考察を行った.そして,選定したグループ活動で援助要請者と特定された児童の内容理解に影響を与えた《適応的授与》の表出に至る構造として,①援助要請者の【間違い】の自認及び表出を経ての【道具的内容】の提示,②援助要請者による【間違い】の具体的な説明を経ての援助提供者の【間違い】の解釈及び体験の2つの構造を指摘した.