数概念の発達を大局的視点のもとで捉えようとする先行研究では,「算術から代数への展開」という角度から取り組まれることが多く,その背景として,内容的には小学校算数と中学校以上の数学とを区別する指導内容の一つとして「文字(変数)」が挙げられると述べている.さらに,数概念の発達は「離散量から連続量への展開」という角度からも取り組まれており,実際に離散量・連続量が中学校数学の教科書においてどのように扱われているのか,教科書分析を行った.また,「数と式」領域指導の意義の一つに,文字がとり得る値の集合について理解することが述べられている.しかし,それは二元一次方程式と一次関数の接続において意識されているとは言い難い.なぜなら,先行研究や中学校数学の教科書において,本来離散量として扱われるべき事象を連続量として扱っているためである.したがって本研究では,二元一次方程式と一次関数の接続において,解のとり得る値の集合を生徒に意識させる教材を開発した.