2025 年 39 巻 6 号 p. 61-64
本研究は,地学教育において「システム概念」と他の科学的概念(パターン,エネルギーと物質,機能と構造等)を同時に育成する授業実践の効果を明らかにすることを目的とした。中学校1クラス28名を対象に,学習方略尺度によるクラスタ分析と自由記述の質的分析を組み合わせて検証したところ,生徒は思考傾向の違いに基づき,「因果・構造志向型」(因果関係や構造的なつながりを重視),「システム統合型」(地球全体のつながりや循環,相互作用を明確に記述),「現象・プロセス観察型」(個々の現象や動き・変化を中心に記述),「現象列挙型」(出来事の羅列にとどまる)の4つのグループに分類された。特にシステム統合型はSTEM的な複眼的視点を示したが,サブシステムの区別や相互作用の理解は限定的で,全体像を捉えた記述ができた生徒は一部にとどまった。以上より,地学教育において「システム概念」と他の科学的概念の同時育成が可能であることを実証し,その指導法の有効性と限界を明らかにした。