平成5年版科学技術白書で若者の科学技術離れが指摘され,高等学校では物理嫌い・物理離れが取り上げられている。そこで,物理履修者の減少の実態を物理教科書の採択数や共通一次・センター試験の受験率から調べ,その要因については科学・教育雑誌や研究紀要,論文などの文献から分析した。さらに大学生,高校生へのアンケート結果から物理を嫌う理由について調べるとともに,学習指導要領物理の目標の具体的取扱い,教科書の電気分野における記述方法,内容の扱い方,公式や図・グラフの数等における歴史的変遷から物理嫌いの要因について考察をした。その結果,物理嫌いの要因には,系統性重視となったことで,論理的内容が増加したため記号・公式が多用され,それらの理解・暗記不足となったことが,要因の一つとしてあげられることが分った。そこで,物理量記号の特性を調べるとともに,記号・公式を理解・暗記しやすくするための工夫として語源や歴史からの意味づけを行った。