堆積学研究
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論説
島根県江津市室神山周辺に分布する鮮新—更新統江津層群島の星層の堆積相と堆積環境
佐々木 泰典
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2009 年 68 巻 2 号 p. 105-116

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抄録

鮮新-更新統江津層群は,島根県大田市南部三瓶山西麓から浜田市にかけての日本海沿いの地域に分布する.江津層群のうち,その中部にあたる島の星層の堆積環境は,河川の中下流域と考えられていたが,詳細な堆積相の認定などはされていない.本研究では,江津市江の川東側に位置する室神山周辺の東西2.5km,南北2kmの範囲において,堆積相とその空間分布,古流向から,扇状地の堆積環境を検討した.
島の星層の堆積相は,Gmm(土石流堆積物),Gb(斜面崩壊堆積物),St(網状河川堆積物),Sm(水中重力流堆積物),Fsm(湖沼堆積物)からなる.この地域の層序は,GmmとStの繰り返しで,一部にFsmを含む.堆積相Stから測定される古流向は,主に西北西向きである.堆積相Gmm,Stが卓越することから,島の星層の堆積環境は土石流卓越型扇状地で,そこには西北西向きの網状河川が形成されていたと考えられる.

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© 2009 日本堆積学会
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