堆積学研究
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論説
河川砕屑物の生産-運搬過程における破砕·摩耗作用の特徴 : 砂礫の岩種,粒径および円磨度の関係
宇津川 喬子白井 正明
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2019 年 78 巻 1 号 p. 15-31

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抄録

河川を運搬される砂礫は,破砕·摩耗作用によってより細かい粒子が新たに生産される.破砕·摩耗作用を詳細に評価するため,河川の水流·地質条件が似た渡良瀬川の2支流において径0.5〜128mmの砂礫を対象に,砂礫の岩種,粒径,円磨度の関係を検討した.粒度階ごとにチャートと頁岩の円磨度および岩種組成を下流方向へ調べた結果,細粒度階ほど円磨度が低く,チャートと頁岩の個数比が小さくなる傾向が得られ,粗い粒子の破砕·摩耗により生産された角張った粒子が細粒度階に供給されたと解釈した.下流側地点では,複数の粒度階で平均円磨度がほぼ同じ値をとる状態が確認された.これは円磨度の「飽和」であり,「摩耗作用による平均円磨度の上昇と,破砕作用による角張った粒子の増加に起因する円磨度の低下が均衡した状態」と考えられる.本研究では,チャートは0.4,頁岩は0.6の円磨度の極限値をとり,短距離かつ急勾配の島弧河川を特徴づける値と捉えられる.

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© 2019 日本堆積学会
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