土と微生物
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種多様性研究の現状 : 顕花植物の実例より(第1部 基礎分野-分布・適応・多様性-,土壌微生物研究のパラダイム,シンポジウム)
河野 昭一
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2000 年 54 巻 2 号 p. 103-109

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抄録
植物の集団生物学における研究の現状と進展に関して概説した。研究の進展には,アロザイム多型のデータや,マイクロサテライトなど新たな分子マーカーの導入がもたらしたインパクトが大きいが,植物集団の構造に関しても,個々の種の保有する生活史過程,個体群統計や集団の動態に関する長期モニタリング研究がもたらした成果が非常に大きい。一年草,多年草はもとより,クローン植物集団の遺伝構造の解析において,新たなサンプリング戦略の展開が果たした役割も評価しなければならない。また,葉緑体ゲノムなど,オネガネラに保存された遺伝子(rbcL, matKなど)の構造解析から,各種分類群の系統樹を構築し,類縁関係の解明を試みる分子系統学的研究が活発に行われているが,形質分化に関しても,系統的制約と環境的制約の相互作用の帰結が読みとられつつあり,進化的変化の本質が次第に明らかにされつつある。
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