抄録
農家圃場のプロテアーゼ生産細菌群集の実態解明に向けた端緒として,茨城県つくば市の栽培法が異なる農家圃場から採取した土壌について,中性メタロプロテアーゼ遺伝子(npr)を標的としたクローンライブラリ解析を行った。調
査した農家圃場では,全ての圃場でB. megaterium およびB. butanolivorans のNpr 配列が高い頻度で検出され,この2 種のBacillus 属細菌が調査圃場に広く存在することが明らかになった。これ以外にも,Bacillus 属細菌と思われるNpr 配列や未知の細菌のNpr 配列が検出され,未知のプロテアーゼ生産細菌が調査圃場に広く存在すると考えられた。また,主成分分析の結果,中性メタロプロテアーゼ生産細菌群集は,栽培法や土壌採取した時期に関わらず,調査した農家によって異なる傾向が見られ,土壌化学性についても同様の傾向が見られた。正準対応分析によって,中性メタロプロテアーゼ生産細菌群集の違いに影響する土壌化学性項目の抽出を試みたが,大きく影響する項目は見いだせなかった。