土と微生物
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宮城県の畑土壌におけるアブラナ科野菜根こぶ病菌の qPCR による定量法の有効性
猪苗代 翔太瀬尾 直美大坂 正明板橋 建丹羽 理恵子松下 裕子吉田 重信
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2018 年 72 巻 2 号 p. 94-99

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抄録
 qPCR によるアブラナ科野菜根こぶ病菌の土壌からの定量法は,従来までの直接顕鏡法等と比較して検出感度が高く,手法が簡便であるとされているが,qPCR の宮城県内に分布する土壌での適用性は検討されていない。そこで,県内の主要な畑土壌を対象に本定量手法の有効性を検討した。国内土壌に適した抽出プロトコルで得られた土壌DNA を用いてqPCR を行い,市販の園芸培土および県内に分布する主要な各土壌タイプ(褐色森林土,黒ボク土,灰色低地土)の土壌の人工汚染土壌中の休眠胞子の検出限界値を調べた結果,いずれの土壌からも従来の検出限界よりも5 ~ 50 倍高い感度で本菌を検出できることが確認され,さらに,汚染土壌中の胞子密度とqPCR のCt 値の間にはいずれの土壌タイプでも高い負の相関が見られた。次に,休眠胞子の汚染程度の異なる人工汚染土壌および発病程度が異なる自然汚染土壌を用いて各土壌中のqPCR により推定された休眠胞子密度と直接顕鏡法による休眠胞子密度を比較した。その結果,いずれの土壌でも,qPCR により推定された休眠胞子密度は直接顕鏡法による密度とほぼ同じであった。以上のことから,qPCR は県内畑土壌における休眠胞子の定量法として有効であることが示唆された。
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