土と微生物
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黒ボク土に立地したトウモロコシ栽培体系での異なる耕起処理が 土壌細菌の群集構造と多様性に及ぼす影響 ―第2 報:トウモロコシ根内の比較―
肥後 昌男 立脇 祐哉橋本 航佐々木 洋平邱 琬貽磯部 勝孝
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2025 年 79 巻 1 号 p. 47-56

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抄録
植物根内に存在する細菌群は,宿主植物の生育において重要な役割を果たしている。しかし,黒ボク土に立地したトウモロコシ生産体系における耕起処理がトウモロコシ根内の細菌群集構造とその多様性に及ぼす影響についての知見は限られている。そこで,本研究では,2019 年と2020 年の2 年間にわたり,絹糸抽出期におけるトウモロコシ根内の細菌群集構造と多様性を調査した。細菌の16S rRNA遺伝子をターゲットとしたアンプリコンシーケンス解析により,トウモロコシ根内の細菌群集構造と多様性を評価した結果,Proteobacteria が最も豊富に検出され(45.78%),次いでActinobacteria(11.61%),Bacteroidetes(10.67%),Firmicutes(9.24%),Verrucomicrobiota(7.51%),Chloroexi(3.63%)が続き,全体の88% を占めていた。また,検出されたASV 数,シャノン指数と均等度指数は耕起処理と年次間の交互作用に有意差がみられ,シンプソン指数はロータリ耕起と比較して不耕起で有意に高かった。さらに,PCoA による評価では,根内の細菌群集構造が耕起処理によって有意に異なることが示された。これらの結果から,黒ボク土において耕起処理の違いがトウモロコシ根内の細菌群集構造と多様性に強く影響することが示唆された。
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