抄録
AIの社会的,経済的な価値が認められるにつれ,倫理に関する懸念も顕在化してきている.AIの利活用におけるリスクは対象のユースケースと利用するAIの性質に応じて多種多様である.安全性,プライバシー,セキュリティ,公平性,透明性・説明責任といった広範な要件を実践していく必要があるが,画一的に適用できる基準はなく,個別の状況毎にリスクの正しい見極めと,適切な対処方法の理解が不可欠となる.生成AIの登場によりAIのさらなる普及と活用が進む中で,EU AI Actが合意され,米国大統領令が公布され,G7広島AIプロセス等の国際協調の取り組みや,ISO/IEC等による国際標準化も進んでおり,日本においても事業者向けガイドラインが作成されている.技術発展とガバナンスの仕組み作りが同時に進行する中で,事業者としてもこれまで以上の努力が求められている.本稿ではAI倫理・AIガバナンスを実践するための技術適用を含めた勘所と議論のポイントについて解説する.