日本セキュリティ・マネジメント学会誌
Online ISSN : 2434-5504
Print ISSN : 1343-6619
最新号
日本セキュリティ・マネジメント学会誌
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巻頭言
研究論文
  • 村﨑 康博, 伊藤 優吾, 松村 欣司, 藤本 正代
    2023 年 37 巻 3 号 p. 3-15
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/05/27
    研究報告書・技術報告書 フリー
    個々のユーザーにおける過去のコンテンツ視聴をもとに新たなコンテンツのレコメンドや付加サービスを提供するような,視聴データを利活用するコンテンツサービスが実施されている.このようなサービスでは視聴データの一部に含まれる個人情報の保護の観点から,視聴データの利活用により想定されるリスクをユーザー自身で理解することに留まらず,サービス提供者がそれを支援することが望ましい.すなわちテレビ受像機等から視聴データが収集される仕組みや当該データが持つ個人情報やセキュリティのリスクに関して,今後サービス提供者からユーザーに情報提供していく環境を整え,ユーザーに理解を促すことが安心して利用できるサービスの実現に繋がると考えられる.  本研究では視聴データを利活用するコンテンツサービスを検討するにあたり,視聴データおよびコンテンツサービスに対するユーザーの理解とリスク認知との関係性に関するアンケート調査を実施した.調査は回答者を情報システムおよび通信関係の業務に従事・関与している人(IT 系)とそうでない人(一般)に予め選別して行った.さらに視聴データ利活用を支援する手段として視聴データをユーザー自身が蓄積・運用する仕組みであるPDS(Personal Data Store)に着目し,PDSを用いて視聴データを利活用するコンテンツサービスを利用することを想定した場合のユーザーのリスク認知について調査した.これらの調査の結果,IT系には一般に比べ相対的に視聴データへの利用やリスクに理解を示す回答者が多く存在し,このうちコンテンツサービス利用を希望しPDSを使用希望する人に対して,プライバシーポリシーの理解を促していくことでポジティブなリスク認知の人が増える可能性があることが示唆された.
解説
  • 国際的政策動向から見たAI倫理
    加藤 尚徳
    2023 年 37 巻 3 号 p. 16-21
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/05/27
    研究報告書・技術報告書 フリー
    これまで,AI倫理社会における様々な組織やコミュニティはAIをより安全安心に使えるような取組の検討の中心に位置づけられ,多数の原則やガイドラインが公表されてきた.足下では,2024年3月31日現在,AI事業者ガイドラインの検討が進められている.これは,従来の3つのガイドラインを統合・見直しし,諸外国の動向や新技術の台頭を考慮した上で,新たに策定が進められているものである.そこで,本稿では,見直しの前提となっている諸外国の動向について,EUおよび米国を中心とした制度の検討状況について概観する.その上で,国際的動向から我が国への示唆を得るために若干の検討を行う.
  • 間瀬 正啓
    2023 年 37 巻 3 号 p. 22-28
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/05/27
    研究報告書・技術報告書 フリー
    AIの社会的,経済的な価値が認められるにつれ,倫理に関する懸念も顕在化してきている.AIの利活用におけるリスクは対象のユースケースと利用するAIの性質に応じて多種多様である.安全性,プライバシー,セキュリティ,公平性,透明性・説明責任といった広範な要件を実践していく必要があるが,画一的に適用できる基準はなく,個別の状況毎にリスクの正しい見極めと,適切な対処方法の理解が不可欠となる.生成AIの登場によりAIのさらなる普及と活用が進む中で,EU AI Actが合意され,米国大統領令が公布され,G7広島AIプロセス等の国際協調の取り組みや,ISO/IEC等による国際標準化も進んでおり,日本においても事業者向けガイドラインが作成されている.技術発展とガバナンスの仕組み作りが同時に進行する中で,事業者としてもこれまで以上の努力が求められている.本稿ではAI倫理・AIガバナンスを実践するための技術適用を含めた勘所と議論のポイントについて解説する.
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