抄録
高齢者食道癌症例に対する胸腔鏡下食道亜全摘術(VATS-E)による外科治療の有用性につき報告する.教室では,VATS-E 適応基準を満たす症例については高齢者にも積極的に手術を行ってきた.VATS-E を施行した80 歳以上の症例(E 群:22 例)と80 歳未満の症例(C 群:392 例)をretrospective に比較検討した.術後合併症では,縫合不全・術後肺炎に両群間で有意差を認めなかった.しかし,反回神経麻痺はE 群で有意に多かった.術後在院日数,術死,在院死は両群間に有意差を認めなかった.また,術後無再発期間,全生存期間,術後BMI においても両群間に有意差を認めなかった.徹底した周術期管理のもとVATS-E による手術療法は,高齢者食道癌の治療法として有用であった.