外科と代謝・栄養
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特集「異所性脂肪―第3の脂肪」
異所性脂肪とメタボリックシンドローム
高本 偉碩
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2021 年 55 巻 3 号 p. 124-127

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抄録

 わが国では2005年に, 内臓脂肪蓄積を必須とするメタボリックシンドロームの診断基準が策定された. 心血管リスク数が1を超える内臓脂肪面積は100cm2であり, これに対応するウエスト周囲長が男性85cm前後, 女性90cm前後であるというわが国のエビデンスに基づいて, メタボリックシンドロームのウエスト周囲長の基準値が定められた.2008年度より内臓脂肪蓄積・肥満に着目した健康診査および保健指導(特定健康診査・特定保健指導)が全国で実施されている. メタボリックシンドロームの概念は「内臓脂肪蓄積を基盤とした心血管リスクの集積」である. したがって, BMI 25未満であっても内臓脂肪蓄積と心血管リスク2つ以上を認める場合には, メタボリックシンドロームに該当する. オールジャパンのデータを基に特定保健指導レベル別にみた心血管疾患の予測能を検討すると, 「積極的支援レベル」群だけでなく, 「動機づけ支援レベル」群の心血管疾患発症のハザード比は, 対照群より高いことが示された. また, 非肥満者でも心血管リスクが存在あるいは集積している場合は, 心血管疾患発症のハザード比が上昇しており, 制度的対応が重要である.

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© 2021 日本外科代謝栄養学会
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