外科と代謝・栄養
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特集「災害下におけるNST 活動」
新型コロナウィルス感染症(COVID‐19)の治療と予防に関する 栄養学的提言について
佐々木 雅也
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2022 年 56 巻 1 号 p. 1-5

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抄録

 2020年, 日本臨床栄養代謝学会 (JSPEN) では, COVID‐19のパンデミックを受けて, 治療と予防に関する栄養学的提言を発表した. これは, ①栄養評価の実施, ②低栄養患者の栄養状態改善とNST活動の推奨, ③エネルギーとたんぱく・アミノ酸投与の強化, ④微量栄養素の適正投与, ⑤隔離・待機状況における継続的な運動と感染対策, ⑥経口的栄養補助の勧め, ⑦経口摂取不十分症例に対する経腸栄養の勧め, ⑧経腸栄養不可症例に対する静脈栄養の実施, ⑨経腸栄養+静脈栄養の重視, ⑩気管挿管症例に対する適正栄養管理の実施, ⑪感染症例に対するNST活動の注意事項, ⑫社会栄養学の実践‐予防が最大の治療‐, の12項目からなる. いずれも, 栄養学的な基本方針をCOVID‐19感染患者においても実施することを推奨した内容である. サルコペニアなどの栄養障害や肥満がCOVID‐19の重症化リスクになること, エネルギーやたんぱく質のみならず, 微量栄養素の重要性を述べている点などは, その後の新しい知見とも合致している. これらの提言を踏まえながら, COVID‐19感染患者の栄養管理, さらにはNST活動が実践されることが望まれる.

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© 2022 日本外科代謝栄養学会
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