外科と代謝・栄養
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特集「災害下におけるNST 活動」
管理栄養士による災害時の栄養支援活動について
~食べることは生きること~
深澤 幸子山下 雅世濱田 真里笠岡(坪山) 宜代
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2022 年 56 巻 1 号 p. 6-10

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抄録

 近年, わが国では, 大規模自然災害が頻発している. 1995年の阪神・淡路大震災では, ピーク時には約32万人もが長期間の避難生活を送り, 食事や健康の問題が生じた. 2011年の東日本大震災でも東北地方を中心に壊滅的な被害を受け, ピーク時には約47万人が避難生活を送り, 10年が経過した今もまだ仮設住宅での生活を送っている人がいる.
 東日本大震災では食事や栄養の問題が深刻化したことから, 行政栄養士の公的派遣, 日本栄養士会などからのボランティア派遣が全国規模で初めて行われ, 管理栄養士・栄養士が栄養支援活動を行った. その後, 全国的な活動を展開する日本栄養士会災害支援チーム (JDA‐DAT) が発足し, 関東東北豪雨災害や熊本地震などを経て活動実績を積んでいる.
 災害時の栄養・食生活支援には,さまざまな職種との連携が必要となる.管理栄養士・栄養士が発災初期に医療活動を行うことの必要性について認知が低い状況ではあるが,配慮が必要な避難者にとって,栄養・食事支援を早期から行うことは,健康状態の維持や慢性疾患悪化予防のために不可欠である.食べることは生きることであり,災害後の栄養・食事支援が避難者の生きる力になることを願う.

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© 2022 日本外科代謝栄養学会
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