外科と代謝・栄養
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症例報告
幽門狭窄を伴う胃癌に対して,W‐ED®チューブを留置し, 術前化学療法後に胃切除術を施行した1例
友松 宗史
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2022 年 56 巻 1 号 p. 37-40

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抄録

 症例は68歳男性で, 上腹部痛を主訴に精査したところ, 高度リンパ節転移を伴う胃前庭部癌と診断され当科紹介となった. 腫瘍による幽門狭窄で, 通過障害を生じており, 経口摂取が困難な状態であった. そのため, 胃内減圧と経腸栄養を同時に施行することが可能な2重管構造のW‐ED®チューブを留置した. 留置することで経腸栄養を行うことが可能になり, 進行胃癌に対して術前化学療法を2コース完遂した後, 幽門側胃切除術(D2)を施行し, 早期退院が可能であった. W‐ED®チューブは, 留置による不快はあるものの, 低侵襲に留置可能であり, 幽門狭窄を伴う胃癌症例に対して, 集学的治療を可能にする有用な手段であった.

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© 2022 日本外科代謝栄養学会
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